ノートPC選択に迷ったら…その1 ThinkPadの歴史と現在
はじめに
この記事では、ノートパソコンの選択に迷っている方々へ、ThinkPadシリーズの魅力とその歴史を紹介します。また、現在のレノボ製ThinkPadについても触れ、どのように進化してきたのかを掘り下げていきます。
ThinkPadの誕生
初代ThinkPadの登場
- 発売年: ThinkPadは1992年にIBMによって市場に投入されました。
- 背景: 当時のノートパソコン市場は、まだ発展途上で、主にビジネス向けの製品が中心でした。IBMは、より堅牢で信頼性の高いノートパソコンを作ることを目指していました。
設計と革新
- デザインの影響: ThinkPadのデザインは、有名な日本のデザイナー、岡本太郎に影響を受けています。彼の「無限を感じさせる黒」というコンセプトが、ThinkPadの色選定に反映されました。
- 赤いトラックポイント: 初代ThinkPadの特徴的な赤いトラックポイントは、画期的なポインティングデバイスとして採用されました。このトラックポイントは、後に「ナビゲーションドット」として知られるようになります。
技術革新
- ポータブルコンピュータとしての性能: 初代ThinkPadは、当時のノートパソコンとしては画期的な性能を備えていました。これには、高解像度スクリーンや優れたプロセッシングパワーが含まれていました。
- 堅牢性: ThinkPadのもう一つの大きな特徴は、その堅牢性です。ビジネスユーザーが過酷な環境でも使用できるように、非常に頑丈に作られていました。
市場での反応
- 評価: 初代ThinkPadは市場に投入された後、その革新性と堅牢性で高い評価を受けました。特にビジネス界では、移動中にも信頼性の高いパフォーマンスを提供できることが重視されました。
メイド・イン・ジャパン ブランドとしてのThinkPad
日本アイ・ビー・エムの大和研究所
- 大和研究所の役割: 日本アイ・ビー・エムの大和研究所は、ThinkPadの開発と製造の中心地でした。この施設では、ThinkPadの設計、品質管理、研究開発が行われていました。
- 品質へのこだわり: 大和研究所で製造されるThinkPadは、厳密な品質基準に従って生産されています。これにより、製品の信頼性と耐久性が保証されており、メイド・イン・ジャパンの名声を支えています。
技術革新の源泉
- イノベーションの推進: 大和研究所は、ThinkPadの技術革新を推進する重要な役割を果たしています。バッテリー寿命の延長、軽量化、耐久性の向上など、多くの進歩がここで成し遂げられてきました。
- 研究開発の成果: 大和研究所の研究開発チームによる取り組みは、ThinkPadが市場での競争優位を維持するための原動力となっています。
文化的な意味合い
- 日本のビジネス文化への影響: 大和研究所他で製造されるThinkPadは、日本のビジネス文化の一部として位置付けられています。効率性と信頼性は、日本のビジネスマンにとって重要な価値です。
- 国際的な評価: 世界中のユーザーは、大和研究所他で製造されるThinkPadの品質を高く評価しており、これが日本製品の国際的な評価に大きく貢献しています。
LenovoになってからのThinkPadの変遷
IBMからLenovoへの移行
- 買収の背景: 2005年、IBMはパーソナルコンピュータ部門を中国のLenovoに売却しました。グローバルなPC市場における競争力を高めるための戦略的な決定でした。
- ブランドの継続: LenovoはThinkPadブランドを継続し、その名声とビジネスモデルを尊重することを明確にしました。
製品ラインの拡張
- モデルの多様化: Lenovoの下で、ThinkPadはビジネス向け製品だけでなく、より幅広いモデルを展開しました。これには、軽量で持ち運びやすいモデルや、高性能なゲーミング向けモデルなどが含まれます。
- 革新的な機能: Lenovoは、タッチスクリーン、回転式ヒンジ、改良されたバッテリー寿命など、新しい技術と機能をThinkPadに組み込んでいます。
技術革新の継続
- 持続的なイノベーション: Lenovoは、ThinkPadの伝統的な強みである耐久性と性能を維持しながら、最新のテクノロジーを組み込んでいます。例えば、強化されたセキュリティ機能、改良されたプロセッサ、そしてエコフレンドリーな素材の使用などです。
- 市場への適応: テクノロジーの進化と市場の変化に対応するため、LenovoはThinkPadのデザインと機能を継続的に更新しています。
グローバルな影響
- 世界中での利用者: Lenovoによるグローバルな展開は、ThinkPadを世界中のさらに多くのユーザーに届けることを可能にしました。これにより、ThinkPadは国際的なビジネス環境での必需品となっています。
現在のラインナップ
ベーシックモデル:Lシリーズ、Eシリーズ
Lシリーズは、LENOVOになって追加されたスタンダードThinkPadのラインナップです。パフォーマンスと堅牢さに定評があり、オフィス用途に適しています。豊富なバリエーションがあり、このラインナップの中で選択することも一つのアイデアとしてありだと思います。
現在13.3インチディスプレイのL13、14インチのL14、15インチのL15、YOGAスタイルのL13 YOGAの4種類の形状が展開されています。
YOGAスタイルのモデルは、普通のノートPCに満足できないユーザーにおすすめのモデルです。液晶パネルが180度回転してフラットになり、さらに360度回転して、タブレットのような形態になります。この2 in 1スタイルが新生ThinkPadにもたらされた新規軸です。
Eシリーズは、スタンダードなビジネスノートPCです。コストパフォーマンスに優れており、お求めやすい価格帯となっています。
現在14インチディスプレイのE14シリーズと、15.6インチディスプレイのE16シリーズがラインナップされています。
CPUがインテルとAMDから選択可能であることも大きなメリットです。コストパフォーマンスを求める場合、AMDモデルを選択すると驚くほど安くThinkPadを手にできます。
軽量モデル:Xシリーズ、X1モデル
Xシリーズは、軽量モデルであり、PCを外に持ち出すことが多いユーザー向けです。
現在X13、X13s、X13 yogaの3種類があります。この中で特筆すべきはX13sで、AMDチップをCPUに持ちます。Qualcomm Snapdragon 8cx Gen 3というPC用のチップは、インテルのCoreシリーズよりも低消費電力であるため長時間におよぶ動作が可能となります。AppleのM2 CPUと同じような感じです。課題は、インテル用のプログラムが動かないことで、Microsoftのアプリケーション以外のツールを主に使う人には選択肢とはなりません。
X13、X13 yoga はインテルまたはAMDのCPUを持ち、持ち運びの多いユーザーにとっては、使い勝手の良いPCとなっています。
X1モデルは、元はXシリーズから発生した1モデルでしたが、今はX1シリーズとして独立したモデル展開となっています。
薄型軽量高性能を売りとしており、非常にスマートな選択肢といえるでしょう。
現在のラインナップは、13インチのNano、14インチのCarbon、同じく14インチのYoga に、折り畳み式液晶モデルFoldが加わった形となっています。
Nanoは、ウルトラモバイル、Carbonは軽量モバイル、yogaはタブレットにもなる2in1、Foldはちょっと見かけない折りたたみ式の大画面タブレット的な使い方となります。
ThinkPadのモノとしての品質面に関してはX1が牽引しているといっても良さそうです。カーボンファイバーを筐体に利用するなど、ハイテクなイメージを前面に出して人気モデルとなっています。
また、いまなお日本で製造されている点もイチオシのポイントです。
堅牢なノートPC:Tシリーズ
Tシリーズは、堅牢なノートPCです。スペックも高く、プロフェッショナルの道具としての完成度が高い製品です。
初期のTモデルは、まだプラスチックっぽさがなく、独特なコーティング技術により、艶消しブラックの姿をしていました。世代を超えて丈夫さは再現されており、いまでもThinkPadのフラッグシップモデルとして売れ筋です。
ラインナップは、14インチモデル及び、16インチモデルの2種類で、14インチモデルではCPUのほかにディスプレイをOLEDに変更もできる為、カスタマイズ性もあります。
ハイスペックノートPC :Pシリーズ
Pシリーズはモバイルワークステーションモデルです。高い拡張性と仕様をもちます。NVIDIA グラフィクスを選択可能です。
オーバースペック気味のPシリーズ。デスクトップ並のパフォーマンスがノートの大きさに凝縮されていて、ワークスペースが効率化できます。
ThinkPadの特徴でもあるトラックポイントにより、マウスを使う頻度が減ります。デスクトップを2台持っている場合には1台をPシリーズで置き換えてサブデスクトップで使うというのもありだと思っています。いざとなれば持ち歩くこともできますし。
Pシリーズも、14インチと16インチのモデルがあり、どちらも高精細のOLEDに変更できるオプションがあります。
結局ThinkPad選びに迷いそう…
結局、どのThinkPadにしようか迷いますよね。次のポイントを考慮して選択すると良いかもしれません。
・とにかく安い方が良い → EシリーズのAMDモデル
・持ち運びをすることが多い → XシリーズまたはX1シリーズs
・長く使いたい → Tシリーズ (
・タブレットとしても使えるといい → yogaモデル(L yogaモデル、X yogaモデル、X1 yogaモデル)
それでは、良いThinkPadライフを!
まとめ
ThinkPadは、その長い歴史と革新により、多くのユーザーから信頼されています。レノボによるブランドの継続は、更なる技術革新を促し、多様なニーズに応える製品を生み出しています。